≪『金』が欲しい≫

 私は感化されやすい
 オリンピックシーズンのころ
 テレビで柔道を見れば、けん○ろうに柔道を挑み
 水泳競技を見れば、けん○ろうと布団の上で泳ぎ
 マラソンを見れば、夜の街をジョギングする
 そんな私をみ○ちゃんは幼稚だという
 男はみんな幼稚だという
 確かに、オリンピックの放送を見て
 「けんちゃん、ママも"金"取ったるわ!」と大声で叫ぶみー○ゃんは大人なのかもしれない

≪JR西日本≫
 私とけんた○うがリビングにちょちょこばり、プラレールで遊んでいると、TVから谷村新司の歌が流れた。
私は人間の反射速度限界(約0.2秒)でテレビに顔を向ける。
なぜならそれは三都物語のコマーシャルで、『竹内祐子』が出ているからだ。
 私は四日間獲物にありついていない猛獣よりも集中力を発揮し、僅か十五秒のコマーシャルに全身全霊を注ぐ。眼力に画面が割れてもおかしくはないほどの熱視線。
 コマーシャルが終わり、止めていた息を吐き、横のけん○ろうを見ると、私と同じ姿勢でテレビを見ていた。
(ふむ。血は争えないな)と思った。

 またしばらくして谷村新司の歌声。
 私はパブロフの犬よろしく、プラレールを掴んだ手を止め当然のごとく画面を凝視する。
 十五秒が経過して、私はゆっくりと息を吐き出し、つぶやいた。
「たけうちゆうこ……」
「しんかんせん……」
 横合いから、け○たろうの恍惚とした声が耳に入った。

≪ぶたにく〜≫
 け○たろうのマイブームは、「ぶたにく〜」というギャグ。
 何が面白いのか、自分で言って、自分で笑っている。
 都合の悪いことを言われたときも、左右の膝を曲げて軽やかにステップを踏みながら、
「ぶたにく〜」
 理解できないことを言われたときも、パンツを脱いで、ちっちゃいゾウさんを披露しながら、
「ぶたにく〜」
 みーちゃ○は、けんた○うの行為をはしたないと思ったらしく、
「やめなさい。はずかしい」
 私も一緒になって、
「ぶたにくはやめなさい。せめてぎゅうにく〜にしなさい」と教育する。

 するとこの前のミントセミナーにて、ぶたにくを連呼するけん〇ろうをとっ捕まえたまっちゅるが、
「ぶたにく! 誰がぶたにくやねん! 私はぎゅうにくや!」と言っていた。
 説得力があった。

≪言語≫
 けんた○うの変な日本語を聞きなれている私は、子供の言葉をだいたい理解できると思い込んでいました。
 朝、けん○ろうを保育園に送ると、ときおり「けんたろ○のパパ、おはよ」とけん〇ろうと同い年くらいの、気さくな子供が声をかけてくれます。
 私も保育園の先生に如才ないところを見せようと、「おはよー!」と言い、頭をなでてやります。
 すると、子供は私のことを「味方だ。とっつきやすい」と思うらしく、どんどん話しかけてくる。
「テレビでなー、○◆!※▽ナほテンテン!」
「なに? アンパンマンがジャムおじさんをぶんなぐった?」
「ちがうー! テレビで! #☆ЮΔ※□■××!」
「なんだと? クレヨンしんちゃんのお尻は桃のようだ? 一度食べてみたい?」
 何を言っているのかさっぱりわからないから、適当に相槌を打っていると、「お父さん、困ります」と保育園の園長さんに注意を受けることになる。
 子供の言葉は子供の数だけ存在することを実感した。

≪たぶん最強≫
 み〇ちゃんの母親は、〇―ちゃんの親である。
当たり前である。
みーち〇んのことを知っている人が、"みーまま" (みー〇ゃんの母親のこと)と一度話をすれば、親であることをすぐに思い知らされることであろう。
 先日、私たち家族は親を伴って北海道旅行に行った。
 あいにく、飛行機が満席でまとまった席をとれなかったので、ばらばらに着席することになった。みーままは一人で飛行機の翼近くの窓側に座っていた。私は斜め後ろ。
 私が読書に勤しんでいると、何だか、妙なきしみ音が連続的に聞こえてきた。
 私の背筋に戦慄が走り、思わずみーまま≠フ席に目を向けてしまった。
 てっきり、おかあさんが飛行機の非常扉とかを興味半分で動かしてみようと思ったのではないかと考えたからだ。
 何せみー〇ゃんを生んだ親であるから……。

注)着陸態勢に入った飛行機が旋回のために、羽の補助翼を動かした音でした。動かしたのはみーままではなく、機長であったことが後から判明しました。